アトピー性皮膚炎とスキンケア
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎は、アトピー素因を持つ人に生じる慢性の痒みを伴う湿疹病変です。この病気の悪化因子にはダニ抗原、食物などのアレルギー性のものと、皮膚に対する刺激といった、非アレルギー性のものがあります。
アトピー性皮膚炎の患者さんでは皮膚のバリア機能が低下しているため、環境の刺激に対して敏感に反応してしまい、痒みや炎症をきたすということがあります。このことから、アトピー性皮膚炎においては、症状の悪化を予防し、よい状態を維持する上で、スキンケアは非常に重要なものです。
そこで今回はアトピー性皮膚炎とスキンケアについてご紹介します。
スキンケアの重要なポイント
皮膚にもたらされる刺激を防ぐために、次のポイントに重点を置いてスキンケアをしましょう。
ライフスタイルの中から刺激になりそうなものを取り除きましょう
肌に対する余分な刺激は症状の悪化につながります。ハイネック、ごわごわした襟や首回りのきつい衣類、下着の縫い目、金具、その他寝具の糊やちくちくする毛布、セーターなどは避けましょう。
また、髪の毛の刺激、汗、水仕事、シャンプーの洗い残しなども刺激となります。また、可能な範囲でホコリ、ダニが少ない環境となるように、掃除、布団を干すなどすると良いでしょう。
皮膚の乾燥を防ぎましょう
アトピー性皮膚炎の皮膚はそうでない人の皮膚より乾燥しやすい傾向にあります。皮膚が乾燥すると外からのアレルゲンや微生物が皮膚の中に入りやすく、それが炎症の原因になります。
石鹸で皮膚を清潔にした後は、保湿剤を外用して肌の乾燥を予防することで環境の変化に強い皮膚にすることが出来ます。保湿剤は多種多様なものがあり、また人によって使用感も違うので、どのようなものを使ったらいいかは皮膚科でご相談下さい。
肌を清潔にしようとしずぎて結果的に乾燥がひどくなる場合もあり、清潔を保つということと肌の乾燥を予防する保湿という2つのスキンケアは並行して行う必要があります。また、症状によっては石鹸を使用せず、お湯のみで洗うほうがいい場合もあります。
いうまでもないことですが、アトピー性皮膚炎の症状によっては、ステロイド外用剤を含めた適切な治療をする必要があります。しかし、適切なスキンケアによって、外用剤の使用量を減らすことができます。
また皮膚症状の悪化を予防し、改善した皮膚を安定させことができることから、治療とあわせてスキンケアをうまく行うことによって、より良い肌の状態を維持できると考えます。
アトピー性皮膚炎以外の皮膚の病気でも肌に合ったスキンケアは必ず必要です。治療と合わせてどんなスキンケアをしたらいいか、皮膚科を受診されたときはお気軽にご相談下さい。