帯状疱疹(たいじょうほうしん)について
今回は体が疲れるとでてくる病気、帯状疱疹について説明します。
どんな病気?
帯状疱疹とは、水痘(一般に水ぼうそうと呼ばれるものです)と同じ水痘・帯状疱疹ウィルスにより生じるウィルス感染症です。まず水痘にかかった後、そのウィルスが神経節という神経の根元のような場所に潜伏し、数年から数十年の期間を経て再発するものです。
老化、過労やストレス、その他様々な病気やその治療によって体の抵抗力が低下したときに発症すると考えられています。
どんな症状が出るの?
まず、皮膚に症状の出る数日〜1週間前に神経痛のような痛みや知覚異常があり、その後で紅斑、水疱を生じます。皮膚症状は通常左右どちらか一方の神経支配領域に出ます。水疱はその後びらん、痂皮となっておおよそ2週間程度で自然治癒するといわれています。
帯状疱疹の一番の特徴は痛みを伴うことです。痛みは皮疹が出る前、出ている間の急性期の痛み(急性期痛)と、また皮疹が消えた後も残る慢性期の痛みがあります。
(この痛みを「帯状疱疹後神経痛」といいます)
急性期痛は持続的な痛みが多いのですが、皮膚症状が消えるころになくなるのが一般的です。これに対し、慢性期の痛みは間欠的に時々痛くなるようなることが多く、時に数ヶ月、ひどいときには数年にわたって続くことがあります。この慢性の痛みは高齢の方や、皮膚症状や痛みが強い場合に残る危険性が高いとされています。
以上のことから、帯状疱疹の治療で最も大切なのは、慢性に持続する痛みである帯状疱疹後神経痛を残さないように治療することです。
どうやって治療するの?
この病気の原因ウィルスの増殖を抑える抗ウィルス薬の内服療法を行います。また水疱、びらんを乾かすための外用治療も行います。これらの治療により1〜2週間で皮膚症状は治癒します。
痛みに対しては痛み止めの内服治療を行うのが一般的です。治療において重要なのは、できるだけ早期から確実に治療を行うことです。そうすることで帯状疱疹後神経痛をある程度予防することが出来ます。
治療を行ったにもかかわらず後遺症として痛みが残ってしまった場合には、痛み止めの内服の他、神経節ブロックなどの治療が必要な場合もあります。
日常生活で気をつけることは?
できるだけ安静にし、アルコールは控えてください。シャワー浴は可能です。皮膚症状が落ち着いてきたら入浴も良いですし、暖めることが痛みを和らげる効果もあります。水ぼうそうにかかったことがある方には感染の危険はありませんが、皮膚病変が乾燥するまでは水ぼうそうをうつす可能性はあるので、乾燥するまでは病変部は保護してください。
さいごに
「関節痛だと思って湿布を貼っていたらかぶれて、ますます痛くなってきた」「虫さされだと思っていたら、発疹が広がって痛みもでてきた」ということで皮膚科を受診された患者さんが、診察させて頂いたところ帯状疱疹だった、ということも何度か経験しております。痛みが持続したり、その後で皮膚症状が出てきたりした場合には、はやめに病院に行くことをお勧め致します。