ニキビの治療
肌の状態、ニキビの程度および毛穴の開き具合により、治療法を組み合わせます。ニキビは早期治療によりニキビ痕を残さないようにすることが重要です。
保険で可能なニキビ治療
1. 外用剤
抗生物質 (ダラシンTゲル/ローション・アクアチムクリーム/ローションなど)
ニキビ菌を殺して毛穴の炎症を抑えます。
アダパレン (販売名: ディフェリン0.1%ゲル)
レチノイド様の作用を有するナフトエ酸(ナフタレンカルボン酸)誘導体です
表皮細胞の分化異常を抑制して毛穴のつまりを改善します。それによって面皰(めんぽう: 白ニキビ・黒ニキビ)が減少し、炎症性皮疹(赤ニキビ・炎症性ニキビ)への進展を防ぎます。
また、ニキビの前段階である微小面皰にも作用して、ニキビの新たな発生を抑える予防的治療も期待できます。
随伴症状(薬理作用) 塗り始めて2週間以内に皮膚の乾燥や刺激感、かゆみ、赤くなったり、皮膚がぽろぽろとはがれるなどの症状が見られますが、しだいにおさまるので、治療の継続には問題ありません。
その他の外用剤 (カラミンローション・ベシカムクリームなど)
皮脂の分泌を抑制、炎症を抑えて治療します。
2. 内服剤
ビタミン剤 (B2・B6・ビタミンC)
皮脂の分泌亢進を抑制し、皮脂の酸化・炎症を抑えます。
また、炎症後色素沈着を予防します。
抗生物質
テトラサイクリン系の抗生物質(アクロマイシン・ミノマイシン・ビブラマイシン)は、ニキビ菌を殺す作用に加え、ニキビ菌の作るリパーゼ(皮脂を分解して炎症を起こす脂肪酸を作る作用がある)を抑えます。
マクロライド系の抗生物質(ルリッド・クラリスなど)も、ニキビ菌を殺して炎症を抑える効果があります。
漢方薬
荊芥連翹湯、清上防風湯、十味敗毒湯、排膿散及湯などを使う事があります。
3. その他
面皰圧出法
大きく毛穴が開いた一部のニキビに対して、毛穴のつまりを取り除くこともあります。
##現在当院では、積極的には行っていません。
赤外線照射
温熱作用で皮膚の血行を改善し、炎症を抑えます。
保険ではできないニキビ治療
ケミカルピーリング&イオン導入
思春期にニキビができなかったにもかかわらず、大人になってから、ニキビができるようになったという人がよくいます。これは、化粧をするようになって毛穴の出口に角栓(古い角質が詰まって毛穴を塞ぐ)ができることが原因です。
ケミカルピーリングは、皮膚にフルーツ酸などの酸性の薬品を塗布することにより、皮膚表面の古い角層を剥離し、細胞に刺激を与えて皮膚の新陳代謝を促進・正常化する治療法です。
当院では、グリコール酸にて行っております。また、当院では、ピーリング後にリン酸型ビタミンCによるイオン導入とセットで行います。
ニキビの程度、肌の状態にもよりますが、当院ではまず、1〜2週ごとに計5回を1クールとして行います。改善がみられたら、2〜4週間に1回メンテナンスをします。ニキビができなくなれば、ホームケア製品などでフォローしていきます。
GAローション(3%, 6%):ホームピーリングローション
ホームピール剤として、入浴後に化粧水使用前に効果的です。
活性持続型ビタミンC誘導体(リン酸型ビタミンC)10%ローション
リン酸型ビタミンCは、普通のビタミンC (アスコルビン酸)と異なり、プロビタミンC (リン酸アスコルビン酸Na)といって皮膚に大量に吸収される誘導体が成分です。--ビタミンC
- ニキビに効果 (皮脂分泌抑制、抗炎症作用、抗酸化作用)
- 美白効果 (メラニン色素の抑制)
- アンチエイジング効果 (コラーゲン合成促進)
レチノイン酸(トレチノイン)
レチノイン酸は、皮脂腺を萎縮、機能を低下させ、角栓(毛穴に蓋をしている角質)をはがれやすくすることによってにきびをなおしていきます。日本では、まだ一般化していませんが、当院では治療に積極的にとり入れております。跡の残りやすいニキビ、深いニキビ、アダパレンやピーリングでもなかなか治らないニキビの場合には、レチノイン酸の治療を行います。